大きなデータを扱う際やバックアップを取っておきたい場合に使用する外付けハードディスクドライブ。構造上とてもデリケートな機械であるため故障してしまうことも多々あります。寿命によって使えなくなってしまうこともありますが、注意して扱うことで防げる故障もあります。
今回はそんな外付けHDDの故障原因はどのようなものなのか、故障した際に起こる症状がどのような物なのか、故障した外付けHDDの復旧作業の方法や故障の際にしてはいけない行動などをご紹介します。
HDDが故障する原因と症状を確認
HDDはデリケートな部品であるためとても故障しやすいです。外付けHDDの故障ではHDDから異音が聞こえる、動作が何度も繰り返されるなどの動作障害、パソコンとつなげても読み込みせず反応しないという症状がよくあります。 故障してしまう原因は様々で、外的要因だけではありません。HDD自体の内部構造にも故障しやすい理由があります。
HDD内にはディスクが入っており、そのディスクに書き込まれている情報を磁気ヘッドで読み取ります。同じように磁気ヘッドを使用して書き込むこともできます。磁気ヘッドはアームと呼ばれる部品の先端についており、アームが動くことによって磁気ヘッドがディスクへデータの読み書きをしに行きます。ディスクは1秒に約100回の高速回転をし、磁気ヘッドとの隙間はわずかしかありません。
そのため落とす、ものがぶつかるなどによってHDDに衝撃が加わると、ディスクの回転軸がぶれてしまったりアームがゆがんでしまったりすることもあります。アームの歪みによりディスクに傷がつくと読み書きができなくなります。 HDDは衝撃だけでなく熱にも非常に弱いです。高温状態のまま長時間使用していることで内部の熱に弱い部品が徐々に変質し、故障に繋がってしまいます。このためHDDの温度によって平均故障時間が変わってきます。
このように、外付けHDDの主な故障原因は衝撃や熱です。近年のHDDは衝撃に強いタイプや排熱しやすくするため工夫されたものなどがありますが、壊れやすい繊細な機械であることは変わりません。外付けHDDを長く使用するためには衝撃を与えないように注意し、あまり熱を持ちすぎないよう排気口へ物を置かないようにするなど気を付けましょう。
故障したHDDのデータを復旧する方法

故障したHDDのデータを復旧したい場合に使用するのがデータ復元ソフトです。データが復旧できる範囲であれば、データ復元ソフトによってデータを取り戻すことができるかもしれません。データ復旧作業の手順を説明します。
まずはデータ復元ソフトをインストールしましょう。有料のものや無料のものがあります。フリーソフトでも復元できることもあるので試してみましょう。この際に注意しなければならないのが、故障した外付けHDDに対応したソフトを選ぶということです。
対応していなければ復旧作業を行うこともできないためきちんと確認してからインストールするようにしましょう。インストールし終わったら外付けHDDをパソコンと接続しましょう。USBケーブルなど復元したいHDDに対応しているケーブルでパソコンと接続し、接続後はHDDに電源が入っているかを確認しましょう。
インストールした復元ソフトを起動し、スキャン機能を使います。外付けHDDに対応している復元ソフトのほとんどにはスキャン機能が付いています。スキャンすることで復元可能なファイルを一覧で見せてくれます。その中から復元したいデータを選択すると復旧作業が行われます。復元後、データの確認をして元通りになっていれば復旧作業は成功です。
次にソフト利用時の注意点について説明します。まず、復元ソフトは本体の損傷には使用できません。あくまでもHDDの内部データをスキャンし復元できるデータを探すというソフトであるため、本体が損傷しているHDDの復旧作業を行う場合は復旧業者へ依頼する必要があります。
復旧ソフトはファイル容量の大きなデータの復元が得意ではないため復元精度があまり高くありません。またソフトを使用することでファイルが上書きされたりデータが削除されたりする場合があるため、機能を正しく理解して使用しなければ復旧が不可能になってしまうことがあります。
データが復旧する可能性を下げてしまう行動
故障してすぐに正しい対処を行っていればデータを復元できたという場合もあります。故障後になんとかしようと行動することで復旧の可能性を下げてしまった場合もあります。外付けHDDが故障した際にやってはいけない行動をご紹介します。
まず注意すべき行動は放置するということです。故障したHDDは時間が経つほど症状が悪化してしまう場合があります。故障後にしばらく放置していることで復旧できる確率がどんどん下がってしまうこともありますので、故障後はすぐに正しい対処をしましょう。
次に、損傷による故障だからといって分解して修理するのはやめましょう。HDDに関する知識があると分解して直そうとする人もいます。しかし一度分解してしまえばメーカーの保証を受けられなくなったり、復旧の業者に断れてしまったりすることもあります。
何度もパソコンと接続し、電源を付けることも復旧の可能性を下げてしまう行動の一つです。内部にトラブルがあり故障している場合は電源を何度もつけて刺激を与えることで症状が悪化してしまうこともあります。接続しても電源が付きにくいという場合は業者へ依頼するようにしましょう。
復旧の可能性をあげるなら業者がおすすめ

ご使用の外付けHDDに対応している復元ソフトがあったとしても、必ずしもデータを復旧できるとは限りません。復元ソフトには上書きや削除の機能が備わっているため、正しい方法で使用しなければデータが上書きされたり削除されたりすることもあります。
そうなったあとでは業者へ依頼してもデータ復旧の確率は低くなってしまいます。復旧ソフトが増えて無料のものもあるため自分で復旧作業を行おうという人もいます。しかし大事なデータであれば、復旧作業はプロに任せることをおすすめします。
故障後すぐに復旧業者へ任せることで、データ復旧の確率は格段に上がります。データ復旧のプロは復旧に関する知識と経験があるため自分で復旧を試みるよりも安全に復旧作業を行ってくれます。 絶対に復元したいという場合や復旧に関する知識が無く不安な場合などは、自身でいろいろ試してみる前にプロへ相談することをおすすめします。
まとめ
とても繊細な機械である外付けHDDは、衝撃や熱に気を付けて大切に扱っていても故障してしまうことがあります。お金をかけずにデータを復旧したいという場合には無料の復元ソフトを使ってみるのも良いでしょう。
その際に使用している外付けHDDに対応しているソフトなのか、正しい手順はどのようなものなのかを必ず確認するようにしましょう。また、復元ソフトは必ずしもデータを復旧できるものではないのを覚えておきましょう。絶対に復元させたいという大切なデータであれば、まずはプロへ相談するようにしましょう。