仕事の資料やメール、思い出の写真など、パソコンには大切なデータがたくさん保管されています。そんなデータやファイルを「間違えて削除してしまった!」という方も多いのではないでしょうか。そんなときは「何とか復元できないか」と焦ってしまいがちですが、場合によってはファイルを破損させてしまったり完全に削除してしまったりと状況をさらに悪化させてしまいます。今回は、誤って削除したファイルを元に戻すために知っておきたいこと、そして復元をおこなう手順についてご紹介します。
削除したファイルを復元できるのはなぜ?
パソコンに保存しているファイルやデータをうっかり削除しても、状況によってはファイルやデータの一部を復元することが可能です。それでは、なぜ一度削除したファイルを復元することができるのでしょうか。まずは、ファイルが削除されるしくみと復元可能なパターンについてご説明します。
作業中にパソコン内にあるファイルを削除すると、そのファイルには「削除マーク」というものが付けられ、画面上から確認することができなくなります。しかし、その時点では完全に削除されたわけではありません。
たとえば文書を作成しているとき、ハードディスクの空きスペースにそのファイルやデータが書き込まれていきます。そして、文書を削除してファイルに削除マークが付けられると、そこは空きスペースとして認識される状態になります。したがって、ファイルを削除したとしても、その場所に新しいファイルが上書きされるまではパソコン内に残っているのです。
つまり、新しいファイルや動画のような容量の大きなデータを書き込む前に対処をすれば、削除したファイルを復元することができるというわけです。また、市販の復元ソフトを使用する以外でも、復元をおこなう専門業者に依頼することも可能です。
削除したファイルの復元方法(Windows版)

Windowsで削除したファイルを復元するために、以下の方法を試してみてください。
・ゴミ箱を確認する
基本的な方法として、まずはパソコン上にあるゴミ箱の中身を確認してみましょう。ゴミ箱の中にファイルが残っている場合は、ファイルを右クリックして「元に戻す」を選びます。すると簡単に削除したファイルを復元することができます。右クリックをした際に誤って「削除」を押してしまうと、ファイルが完全に削除されてしまうので注意しましょう。
・システムを元に戻す
こちらはパソコン全体のシステムを元に戻すことでファイルを復元させる方法です。Windowsのアイコンをクリックして「システムの復元」を検索すれば簡単に復元プログラムを見つけられます。システム自体を復元する際には現時点からどの時点に戻したいかを選択することができます。手順は簡単ですが、復元するまでに時間がかかることが難点です。時間に余裕のある場合は試してみるとよいでしょう。
・ファイル復元ソフトを利用する
これまでにご紹介した方法で復元できない場合は、市販のファイル復元ソフトを使用してみましょう。ソフトをダウンロードして削除したファイルがあった場所をスキャンすると、復元が可能なファイルやデータを探してくれます。
削除したファイルの復元方法(Mac版)
Macを使用している場合は、Windowsと同様にゴミ箱の中を確認してみましょう。それ以外の方法は以下を確認してください。
・Time Machineを利用する
「Time Machine」とはMac OSに標準で付いている履歴機能で、パソコンをファイル削除前の状態に戻すことができます。そのため、Time Machine を設定しておけばファイルの復元は格段にスムーズになります。
事前に設定しておくためには外付けのハードドライブが必要です。ドライブをパソコンにつなぐと、Time Machineでバックアップを作成するかどうかのメッセージが表示されます。ドライブをバックアップディスクとして使用する際に、暗号化してパスワード設定をかけることも可能です。
Time Machineを有効にすると、自動で毎日バックアップを作成してくれますが、容量が不足した際は古いバックアップデータから削除されていきます。バックアップを作成するタイミングは、Time Machineのメニューから手動で実行したり、Time Machineの環境設定から自動バックアップを停止したり、自由に操作することができます。
Time Machineのメリットは、簡単にファイルを削除する前の時点に戻せることです。しかし、事前に設定していない場合は利用することができませんので、その場合は復元ソフトを利用してみましょう。
・ファイル復元ソフトを利用する
Macの復元ソフトに「データリカバリー」というものがあります。Mac本体のHDDや外付けHDDのほか、USBドライブやSDカードなどの記憶装置からファイルを復元させることができます。また、写真や音楽、ドキュメントなどさまざまなファイル形式にも対応しており、とても優秀な復元ソフトです。無料体験もおこなっているので、お試しで利用することも可能です。
こんな状態の場合は要注意

先ほどご説明したとおり、データを削除したままの状態であれば復元できる可能性は高いです。しかし、インターネットの使用やメールのやり取りをおこなうといった行為も新しいデータを上書きすることになります。削除されたファイルのスペースが少しでも上書きされると、そのファイルは破損してしまいます。特に、大量の写真や動画などの容量の大きなデータを保存するとスペースが完全に上書きされてしまうため、注意が必要です。
また、ファイルを開こうとしたときに「ディレクトリが壊れています」といった警告メッセージが出てきた場合は焦ってあれこれ試してしまいがちですが、そんなときこそ落ち着いて対処することが大切です。
闇雲にシステムやプログラムを開いて間違った操作をすると、まだ残っていたファイルを完全に削除してしまったり、他のプログラムにまで影響を及ぼしてしまったりすることがあります。状況を悪化させる前に、ウイルスに感染していないか、インストールしたソフトが稼動できる環境になっているかなど、問題が起こっている場所をきちんと確認するようにしましょう。
まとめ
操作を誤って大事なファイルを削除してしまったときは、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。できるだけ状況を悪化させないためにも、パソコンはそのままにしておき、スマートフォンや他のタブレット端末などでインターネット利用をおこなうことをおすすめします。
デスクトップ上のゴミ箱から簡単にファイルを復元できる場合もありますので、操作に注意をしながら、できることから試してみましょう。パソコンの標準機能を利用したりソフトを利用したりしても復元が難しいときは、データ復旧サービスに相談されてみてはいかがでしょうか。また、大切なデータやファイルを守るためにも、日頃からバックアップを作成しておくなどの対策をしておきましょう。