「外付けHDD(ハードディスク)が起動しない!」「ハードディスクから変な音がする…」こんな症状に悩まされてはいませんか?
ハードディスクの磁気ヘッドとは、磁気ディスクを読み取る部品のことを言います。この部分が破損しているとデータの読み込み・書き込みができなくなるほか、最悪の場合はデータが破損する…なんてことにもなりかねません。問題を解決するには、壊れてしまっている磁気ヘッドを交換するのが手っ取り早いですが、どのような方法で行えばよいのでしょうか?
今回はハードディスクの磁気ヘッドの交換方法をご紹介していきます。合わせて、故障したときの症状や、業者に依頼をするときの選び方についてもまとめてみました。最後まで一読し、大切なハードディスクのデータを取り戻しましょう。
HDDのヘッドってなに?
HDDの内部には、CDに似た磁気ディスク(プラッタ)と呼ばれるものがあり、これを磁気ヘッドで書き込み・読み取りをすることによって記憶媒体として機能しています。イメージとしては、蓄音機のような状態のものが複数台縦に積み重なっている形状をしているといえば、わかりやすいかもしれません。データの読み書きの機能をしている部分なので、ハードディスクのパーツの中でも重要な部分になります。
なぜHDDヘッド障害が発生しやすいの?
ハードディスク内部は、磁気ディスクと磁気ヘッドが互い違いになった層になっています。ディスク部分と磁気ヘッドの間には「2nm」とごくごくわずかな隙間があります。「2nm」の幅は想像が付きにくいかもしれませんが、たばこなどの煙に含まれる灰の1粒と変わらない大きさといわれています。この隙間と回転の速度による浮力を利用して磁気ヘッドの先端を浮かせ、若干の圧力を加えて制御することでデータの読み書きを実現しているのです。
以上のような、とても繊細な仕組みをしているからこそ、磁気ヘッドと磁気ディスクの間にゴミやホコリなどが入り込んだだけでも故障となります。また、衝撃などの予期せぬ負荷がかかることでヘッドが変形したり折れたりなどの故障もしやすいのです。
HDDのヘッド障害が起きたときの症状

磁気ヘッド部分に故障が見られる場合、主に以下の4つの症状が現れます。もし思い当たる問題が起きているのであれば、ヘッドが何らかの損傷を受けている可能性がありますので、使用を早めに停止し、バックアップを取ったり修理を行うなど、万が一のための対処を行いましょう。
異音が鳴り続ける
通常起動したときや、読み取り・書き込みをしているときにハードディスクから起動音が聞こえます。これは何かが回っているような音で、「サー」や「ウィーン」や、「カリカリ(シーク音)」といった擬音で表現される音です。パソコンを何度も使用している方ならば、効きなれた音といっても相違ないでしょう。
問題が「ガガガ」「ギギギ」「カタン、カタン」といった耳ざわりな音です。とくにアクセスしていないのにこのような音がした場合は、磁気ヘッドに異常が出ている可能性が大です。
この異音は、磁気ヘッドに何らかの故障が生じているにも関わらず、無理に読み込もうとして磁気ディスクを傷つけている音になります。このままアクセスをし続けると、ハードディスクの故障につながりますので、直ちに使用を停止させましょう。
HDDをパソコンが認識しない
パソコンがハードディスクを認識しなくなります。外付けやデータ保存用に使用しているディスクの場合は、「PC(コンピュータ)」の「デバイスとドライブ」の一覧などに認識されなくなり、OS自体が入ったハードディスクの場合、BIOS画面は表示されるもののエラーメッセージが表示され、それ以上起動しなくなってしまいます。
ただし、パソコンがハードディスクを認識しない原因の中には、ケーブルが上手く接続されていないことも考えられます。接続してすぐに起動しなかった場合は、今一度配線部分を確認して抜き差しをしてみましょう。また、外付けハードディスクの場合は電源スイッチを押されていない、コンセントの挿し忘れなども考えられます。意外と忘れやすい部分ですので、チェックしてみましょう。
データが破損してしまう
磁気ヘッドが故障したり摩耗してしまうと、ハードディスクを使用できるものの、データが破損してしまったり、不良セクタが増えてしまったりします。
不良セクタとは、何らかの障害を受けて破損し、書き込めなくなった領域のことを言います。ハードディスクに書き込みをする際、磁気ディスクの表面を何分割化してデータを書き込んでいきますが、磁気の低下や故障などが起きると、「不良セクタ」と呼ばれる使用できない部分ができてしまいます。
通常、ハードディスク上にこの不良セクタができてしまっても、システム制御でその領域自体が「なかったこと」として飛ばし、使用できる領域だけを使って稼働するようになっていますが、この不良セクタが過ぎると読み込み・書き込みに負荷がかかるので、「磁気ヘッドの摩耗と不良セクタの増加」という嫌なサイクルに陥ります。やがて、ハードディスク自体が故障し、機能しなくってしまうことも十分にありうるのです。
HDDのヘッド交換する方法をご紹介!
磁気ヘッドを交換するには、高い技術力と、精密ドライバーなどの道具、交換用パーツ、クリーンルームが必要になります。ナノメートルの世界である繊細な磁気ヘッドを取り扱うのには、ホコリなどの不純物を極力取り除ける環境が必要になるのです。
故障覚悟で自分修理を行う場合はよいですが、大切なデータがあったり、高額なハードディスクの場合は一度踏みとどまって考え直しましょう。原因が他にあったのにも関わらず、磁気ヘッドの故障だと思って分解して取り返しのつかないことになってしまう可能性も十分考えらえます。修理業者に依頼をする方が最適解で解決してくれるでしょう。
磁気ヘッドの交換をする場合、正常な磁気ヘッド用意する必要がありますが、以下の2通りの手段で入手することができます。
ハードディスクは繊細な機器であるうえ、メーカーによって微妙に磁気ヘッドが異なります。また容量によって時期ヘッドの本数も変わってくるため、必ず交換するハードディスクと同じものを用意する必要があります。型番次第では磁気ヘッドを単品購入するよりも、中古のハードディスクを購入して分解してパーツ取りしたほうが安価な場合もありますので好みで選びましょう。
ここでは一般的なハードディスクのヘッド交換方法をご紹介していきます。それぞれ型番やメーカーによって異なりますので、作業前に下調べをしておきましょう。ハードディスクに付属しているケーブルを取り外し、外付けの場合は外箱ケースを外します。
ハードディスクの裏面にある四隅のネジを取り外してカバーを開きます。この際、シールでネジが隠れている場合があります。一部だけくりぬいて剥がす際は、どのあたりにネジがあるかインターネットなどで調べておきましょう。
ハードディスクの基盤を取り外し、半透明のフィルムのような絶縁シートも取り出します。さらに蓋を取り外していきます。ディスクやヘッドを固定するネジがある場合、このタイミングで誤って回してしまうと破損をまねきます。慎重に選びましょう。
ヘッドの根元付近に磁気の強い磁石があります。この部分のネジを磁気ヘッドやディスクを痛めないように慎重に外し、ネジを取ったら梃子の原理で取り出します。その後、磁気ヘッドを止めるネジがある場合は取り外しをして、磁気ヘッドを取り出します。
ハードディスクから磁気ディスクを移植する場合、同様の手順をもう一方にも施します。取り出したら磁気ヘッドを慎重にはめ込み、あとは取り外しと逆の手順で元に戻して完了となります。
HDDのヘッド交換は業者がオススメ!良い業者の選び方

確かに磁気ヘッドの交換は、パーツ代だけで見れば自力で行ったほうが圧倒的に安価です。しかし、技術の難易度や作業環境に非常に左右されるものですので、ハードディスクのヘッド交換は業者に依頼をしたほうが安心です。
業者に依頼をする場合、以下の3つに注目してみましょう。
ハードディスクに保存しているデータを失ってしまうと、その損失ははかりしれません。信頼できる業者を選ぶためにも、慎重に依頼先を選定しましょう。
まとめ
ハードディスクの磁気ヘッドの故障を放置してしまうと、最悪の場合データが破損してしまい取り返しのつかない状態になってしまいます。故障状態が悪化してしまう前に、早めに修理をするようにしましょう。ハードディスクのヘッド交換はとくに資格は必要ありませんが、非常に技術力が要求されます。故障覚悟でない限り、自力での交換はおすすめできません。
磁気ディスク部分が物理障害を受けると、一般的なリカバリソフトを使用してもデータが戻ってくる可能性は限りなく低いです。しかし、業者によっては復旧できる可能性もありますので、あきらめずに相談してみるとよいでしょう。